離婚と年金の問題
「年金分割」という言葉をみなさん聞いたことがありませんか。そもそも、離婚した場合、「年金も問題になる」ということをご存知でしょうか。 |
年金分割とは、配偶者が「厚生年金」や「共済年金」に加入していた場合(いわゆる3階建ての2階の部分)、離婚時に年金を分割するという制度です。
「国民年金」に相当する部分や、「厚生年金基金・国民年金基金」等に相当する部分は分割の対象ではありません。また、婚姻前の期間の部分も考慮されません。
年金分割は、年金の一部を相手方に分けて振り込むことになるというものではなく、年金の納付記録を分け合うというものです。ですから、将来受け取る予定の年金の金額の2分の1がもらえるということにはならないので注意してください。
この年金分割は夫婦の離婚後の公平を実現させるために導入された制度です。年金分割制度が導入される前は、夫が働いて、妻が専業主婦の場合、厚生年金を受け取ることができるのが被保険者のみであったため、妻が受け取ることができる厚生年金はごくわずかでした。
これでは、夫が仕事に専念できるように支えてきた専業主婦の方にとって非常に不公平なことになっていまいます。そこで、年金分割という制度が導入されたのです。
ですので、年金分割をすれば、いつもメリットがあるということにはなりません。あくまで夫婦間の公平のための制度ということを忘れてはいけません。メリットがあるのは、婚姻期間中に自分よりも相手方の方が厚生年金や共済年金を多く支払っていた場合です。
自分の方が相手方よりも多く支払っていた場合は年金分割を請求されることもあるのです。
一般的には夫の方が妻よりも厚生年金などを多く支払っている場合が多いため、妻から夫へ年金分割を請求することがほとんどで、年金分割は妻が夫に請求するものというイメージをもたれる方が多いです。ですが、必ずしもそうというわけではありませんので、注意してください。
年金分割の種類
年金分割には、合意分割と3号分割があります。
合意分割
合意分割とは、平成20年3月以前の婚姻期間について、夫婦間で年金分割の割合につき合意が成立した場合に、合意内容を証明することで年金分割手続をすることができるというものです。
合意分割の方法
年金分割の割合につき、「夫婦間の話し合い」により合意が成立した場合、合意した内容を証明することにより年金分割手続をとることが可能です。夫婦間の話し合いがうまくいかない場合は、家庭裁判所の「調停」や「審判・離婚訴訟」の手続きで決定することになります。
また、調停や判決などで離婚が成立した場合でも自動的に年金分割がなさるわけではありません。離婚成立の翌日から2年以内に請求することが必要です。
3号分割
3号分割とは、平成20年4月以降の婚姻期間について、夫婦間の合意がなくとも第3号被保険者であった人の請求により、自動的に2分の1の割合で分割するというものです。
このように、年金分割は複雑な部分があり、正しく理解することが難しい面があります。そして、年金分割の問題は今後の年金の受給額に関係する重要なことです。
年金分割のことについて、悩まれている方は、一度、専門家である弁護士に相談されることをお勧めします。